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森鴎外と娘たち展

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世田谷文学館で開催されていた「森鴎外と娘たち」展。

いつでも行けると思っていたら今日が最終日。
ってことで、行ってきました。

森鴎外に関しては「舞姫」を読んで、「なんて勝手な男!」と思っていたのですが
子供たちに、茉莉、杏奴、類なんて名前を明治時代につける西洋かぶれ(?)なところは好きでした。

特に森茉莉は高校生の時に「恋人たちの森」や「枯葉の寝床」「アドモアゼル・ルウルウ」を夢中で読みました。
当時、福永武彦の「草の花」も大好きだった飼い主・・。

今でいうところのボーイズラブ小説?

男性同士の友情を越えた愛情に心ときめいていた若き日の飼い主です。

展示は森鴎外が小さな子どもたちに宛てた旅先での便りから、
のちに作家や随筆家になる二人の娘たち手紙など・・・。

独自の美意識を持って父親が娘を育てると、娘はひとつの美しい作品になるのだなあと思った次第です。

で、観終わって売店で久しぶりに森茉莉の本でも購入しようとして選んでいた飼い主に、係の方が
「今から皇后さまがお帰りになりますので、よろしければお見送りをお願いします」と。

入る前から10メートルおきに眼光鋭いスーツ姿の男性が立っていたり
出待ちとおぼしき、お行儀のいいおばさま方が外にいたり・・。

ちょっと物々しい雰囲気だったので
「どなたかいらっしゃっているのだな」とは思っていましたが美智子皇后とは!

で、一列に並んでお待ちしていると、階段を下りてこられました。

深いエメラルドグリーンのケープにチャコールグレーのスカート、トレードマークの小さなお帽子。

そのまま私たちの前を通り過ぎるのかと思ったら、
わざわざこちらに近づいてらして、並んでいる私たち一人一人の目をご覧になりながら会釈。
飼い主、話しかけられてしまいました。
「ご覧になりましたか?」と・・・。

その距離1メートルもないと思います。
「はい」としかこたえられませんでした。

お近くでみると、すらりと背が高く、気品にあふれてみやびやかで・・・となりの知らない女性と
「素敵でしたね」とため息。

皇室にはあまり興味のない飼い主でさえも感動しました。
「こんな方が、日本の顔として海外の要人と会うのはこの国のためにいいことだなあ」と・・。

それくらい気高く、厳かで、さらに包み込むような優しさにあふれていました。

多分、お見送りをした数人は「何も知らずにスーべニールショップで品物を探していた」
鴎外や森茉莉、小堀杏奴のファンです。

たまたまスーベニールショップにいた偶然が招いてくれたサプライズ。

たおやかで凛とした素敵な方だとの思いが飼い主の心に刻まれました。

どちらかというと左寄り(?)の家庭に育った、体制嫌いの飼い主、
でももろ右寄りの「週刊文春」を20年以上毎週愛読している一貫性の無さを自分ではリベラルと呼ぶ?

そんな飼い主も美智子皇后にお会いして、うれしくなるところは・・日本人なのだと改めて自覚してしまいました。
by alexcorgi | 2010-11-28 18:30 | 読書・映画・音楽・アート