母の介護からは卒業しましたが、
介護小説に手を出してしまう気分および状態からは抜け出せずにいます。
↑は、アメリカ育ちのインテリ小説家・水村美苗氏の「母の遺産」。
書評を読むと・・
「介護をめぐる母娘の確執と共依存、行き場のない苛立(いらだ)ち、
夫の不倫への不穏な追及、離婚時の年金分割と後の生活資金の計算、
密(ひそ)かにしのびよる自身の老い……。
これはあまりにリアルな介護小説であり、
初老の女性の葛藤を仔細(しさい)に描いたまことに小説らしい小説だ」
なんて書かれてあります。
少しだけ感想を・・・・まず、介護小説ではありません。
この小説を読んで「介護」という言葉を出す人の感覚は理解できません・・・。
入院、もしくは入所している母のところに通うことを介護とは呼ばないと思います。
現在飼い主の母は入所していますが、
施設や病院に行くのはあくまでもお見舞いであって介護とは思っていません。
作者の自伝的なお話なのですが、
主人公の母はかなり個性的で、我の強い、かまってちゃん・・・。
いつだって主役が自分でないと気が済まない、演技性人格障害系のお方です。
そして、自分の見果てぬ夢を娘たちを通して実現してきた方でもあります。
精神的に振り回されるのと、肉体的に自由を奪われるのはどちらがつらいのだろうか?
ということは考えました。。。。
母と娘の確執、姉妹の微妙なズレ、祖母・母・娘たちの3代にわたるお話ですが、
そこには「父」の存在はかろうじて垣間見られる程度。
病に倒れた夫(父)を療養型の病院に入れて年下の男性にうつつを抜かす主人公の母。
描かれているのは、女性同士の関係性の濃さ、面倒さ。
業の深さ・・・。
母を批判しながらも共依存しているとしか思えない母娘。
自分を縛るものから、自由になれないのは、自由になろうとしないから?
考えさせられました。
「関係終了です」
なんてドライにいえないから、悩み深いのが親子だとは思います・・・。
作者のお母さんなんて、かわいいものだと思いますよ。
世の中には精神的に支配されたうえで、肉体的な奉仕をされている方もいると思いますから。
で・・・・あまりにも父の存在が希薄だったので、バランスをとるために(?)こちらも読書中。
小池真理子氏の「沈黙のひと」。
離婚して別家庭と新たに二人の娘を持った父のことを書いてあるようです。
娘と父のお話しです。
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